元通りになんてできない

「おはようございます」

「っ、…びっくりした〜。おはようございます。昨日は有難う。気を遣わなくて良かったのに。
知里が凄く喜んで。あのウサギ好きなのよ」

「それは良かったです」

「コーヒー?」

「はい」

「入れるから」

「すいません」

「知里ちゃんて言うんですか?あ、すいません有難うございます」

受け取って一口飲んだ。…熱。

「え?あ、そう。知里って言うの」

「どんな字を書くんです?」

「知る、知識の知。里は古里の里で知里」

「そうなんすか。…可愛いんでしょうね」

「うん、凄く可愛い。親バカ丸出しね。でもね、DNAは怖いよ〜」

パシッと額に手をやった。

「夫に似てくれたら良かったのに…、何の因果か私のDNAを強烈に受け継いじゃって…そっくり」

「鷹山さんに似てるんですか?」

「そう!鷹山も鷹山、鷹山薫にそっくり」

「…じゃあ、可愛いから良いじゃないですか」

首をブルブル振る。

「こればっかりはね。知里には責任が無いから余計申し訳無い、やっぱり夫に似た方が良かったのよ…、先を考えたら…」

「え?」

「あ、ごめん、何でも無いの。まあ、顔も成長とともに変わるって言うし…」
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