元通りになんてできない

「鷹山さん…」

「何?」

「…いや、…何でもないです。大丈夫です」

「そう?」

「はい…」

「お昼休み、時間無くなるね。じゃあ、私、先に戻ってるから。本当、鈍感でごめんね」

「いいえ、大丈夫です。気にしないでください。俺は少し時間を空けて戻ります。これ、有難うございました」

鷹山さんは軽く笑みを浮かべ戻っていった。



はぁ…、駄目だ。
朝のハプニングから頭がおかしくなってる。
危なかった…。俺は自分の発した言葉で、制御したようなものだった。

抱きしめたい…。
そんな衝動に駆られてしまった。

慌てて連れて出た外階段は狭かった。必然的に二人の距離が近くなってしまった。…。状況がそう思わせたのか…。

ここは吸っては駄目なんだけど…、携帯灰皿を出して、煙草に火を点けた。

フゥー。吐き出した煙が流れて消える。
風が強いな…。

もう一度吹かし、煙草をねじ込み…、消した。

気持ち…、流される訳にはいかない…。駄目だ…。


鷹山さんは既婚者。
俺は来月には結婚する。

変えられない…。もう決めたんだ。
これは…、俺の結婚は、決定事項だ。
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