元通りになんてできない
「あー、そう言えば…、聞くのずっと忘れてて。
メールの、あの、彼女のお弁当が何とかって、それでラッキーとか、あれは何?
どういう事だったの?」
「ああ…、あれはなんて言うか。
俺が弁当を食べに寄った公園にOLさん達も居て、その二人が俺に連絡先を交換したいと言って来たんですけど、俺が膝の上で広げてる弁当を見て、彼女が居るんだと思ってくれて、あっさり帰ってくれたって話です。
面倒臭い話にならずにすんだから、だからラッキーだったって事です。
目茶苦茶褒めてましたよ?鷹山さんのお弁当。
栄養のバランスもいいし、あれも、南瓜のハートも可愛いって言ってました。
あれは知里ちゃんの為ですよね?」
「そう、全部くり抜いていたから仕方なかったの、ごめんね。恥ずかしかったでしょ?」
ハートなんて。
「いや、まさか…、人に見られるとは思いませんでしたけど。
嫌じゃ無かったです。変に気を遣わず、普段と変わらないお弁当なんだと思って、嬉しかったです」
「そう?なら良かった」
「おかあさん、たこさんとハンバーグ」
「はい、たこさんと、ハンバーグ、はい」
「変人扱いしないで聞いてくださいね…。
何だか同じものを食べてるんだと思って、想像して、…家族に入れて貰えたみたいで嬉しかったんです。
上手く伝わるかな〜」