元通りになんてできない
結局、動物園は回りに回り、帰りの電車で、知里は半目になって、コックリ、コックリ眠ってしまった。
嬉しくて、いつもより沢山走り回り、興奮したのだろう。
…男の人、居てくれると、違うものだ。
疲れた知里を背負ってくれても、涼しい顔して、軽々とだし…。
肩車も…。はぁ…。すっかり気にいってしまって。
凄く高くなるから。
これからが大変だ…。
あんなの私にせがまれても、…無理無理。
はぁ…。
送りますよ、眠ってるから、と幸元君が言ってくれたが、丁重にお断りして、お礼を言って駅で別れた。
信君…、信君だって知里を肩に乗せて、どうだ?高いだろう?、って言いたかったよね…。
はぁ…。
一緒にお弁当食べて、遊び疲れて知里と一緒に、ぐったりって言って、並んで大の字で転がりたかったよね…。
それから…、知里ばかりじゃなく、私も信君と手を繋いで、遊んでる知里を一緒に眺めたりしたかった、もっと、もっと…。…信君。…。…。
…いけない。駄目だ。
こんなところでグズグズ泣いては。お母さんなんだから。
もう、着く頃ね。
知里…、寝てる。抱っこしなくちゃ…。