元通りになんてできない
かわらない
「おはよう猛君」
「おはようございます」
今朝もお義母さんが朝食を作りに来ている。
「マナミは?」
「…まだ寝てます」
「…アラアラ、はぁ、しょうがない子ね…。本当にごめんなさいね…」
「いえ、何て言うか、僕の方こそすみません。…毎朝、ご飯を」
別に、自分で好きにするからいいんだけど。お義母さんの気持ちを思えば無下にできない。
「それは、いいの。本当にごめんなさいね。いつまでも独身気分で、自由にしてるマナミが悪いんだから」
「…」
「今朝は和食だけど良かった?」
「お、僕はなんでも」
「猛君は好き嫌いもないから楽よね、作り甲斐があるわ。綺麗に食べてくれるし。
いけない、お喋りは禁物ね。
朝の時間は貴重ですからね。さあ、食べて」
「はい、頂きます。…美味しいです」
「あら、有難う。嬉しいわ〜。そう言ってくれるのが一番、励みになるのよね。…うちのなんか、な〜んにも。
最初からよ。ん、とか、おい、とかばっかり。…ごめんなさい、愚痴っちゃった。
あら、それ」
「ああ、今日はゴミの日ですから、燃える。だから後で、家出る時に持って出ようと」
「そんなの私が出しとくわ。…男の人にゴミ出しなんてさせられないわ…、…はぁ」
「僕はずっと一人暮らしで、自分で出してましたから、気になりませんよ?」
「駄目、駄目、今は結婚したんだから。旦那さんにゴミ出しさせるなんて…。
置いといて、私が出します」
「すみません、では、遠慮なく、お願いします。ご馳走様でした。行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
同時にマナミが起きて来た。