元通りになんてできない
「ふぁ〜、…おはよう…眠い」
「…おはよう」
「何がおはようよ。本当にこの子は…」
「朝だからおはようじゃん?あ、お母さん、何?和食?
マナミ、パンがいいからパン焼いて〜。あと、ミルクタップリのカフェオレも。トマトのオムレツもね〜」
「食べたいなら自分で作りなさい。今日はこれを食べておきなさい、無駄になるでしょ?」
「じゃあ、お母さんが食べれば?いらないなら棄てたらいいじゃん」
…。
「…さあ。猛君、会社、会社。遅れちゃう」
「あ、はい、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「あ〜、猛、待って(チュ)……フフ、行ってらっしゃい」
「…」
「もう、マナミ…」
「え〜お母さん、行ってらっしゃいのキスじゃん、ほっぺだし、いいじゃん」
「そんな事、言ってるんじゃないの…」
「…行ってきます」
「ごめんなさいね、行ってらっしゃい」
「バイバ〜イ、猛」
「…」
俺は靴を履き玄関を出て、ドアを閉めた途端ゴシゴシ頬を拭いた。
「マナミ、ご飯食べなさい」
「いらな〜い。パン焼いてくれないならもういいから。シャワーして来る。後で出掛けるから。
お母さん、カフェオレだけでいいから作っておいて」