元通りになんてできない
「解る?簡単な計算は出来るわよね?
このカップ一杯200CCだとしたら10杯分つくれるの。
主婦をするとはそういう事なのよ?そうやってやり繰りするのがごく普通の事なの。
たまにはお店で飲むのも良いわよ、それが駄目だとは言わない。でもそれが毎日だとしたら?
お金はいくらでも勝手に湧いてくるものではないのよ?
決まったお給料の中から、必要なものをどれだけ賢く買うか。少しは真剣に考えなさい。
マナミ?お母さん達も悪かったわ、あなたを甘やかし過ぎて、許してきたから…。
でも、今からでも頑張りなさい。
嫌とか、出来ないじゃないの。結婚したの。自由な独身じゃないの。
やらなくちゃいけないの。解るわね?
嫌なら、…。ううん、何でもない。
とにかく、我が儘ばかりでは駄目よ?ね?
あなた、猛君の事好きなんでしょ?好きな人の為には頑張れるわ。ね?マナミ。
これも…、こんな爪じゃ家事は出来ないわよ?
ほどほどにしなさい」
「……」
「マナミ?」
「…もう、…もう帰ってよ…煩い」
「マナミ…」
「…帰って、帰ってよ!」
「…解ったわ、帰るから。落ち着いてよく考えてみて?…叩いてごめんね」
マナミ…一度に言い過ぎたかしら。でも解って欲しかったのよ。
さっき…、嫌なら別れなさいと言いそうになった…。私も興奮し過ぎていたから。