元通りになんてできない

「できた、おかあさん、みて、みて」

チンと焼き上がったグラタンを取り出し、お皿に取り分けた、冷ますためだ。

「あっつ、あっつ~。まって、ちょっと待ってね?」

「は〜い」


「どれどれ」

テーブルの前に座り、膝に知里を抱いた。

こ、これは…。
明確には解らないが、熊らしきもの、ウサギらしきもの、さるやキリン(色から判断)を仲良く手を繋いで見ている。
おそらく一番高いのが幸元君で、隣の一番小さいのが知里、その隣、二番目に大きいのがきっと私。
それぞれから紐のような手が伸びていて繋いだようになっている。

?、黒いかたまり?

「知里、これは?」

「うさたん」

あ、なるほどね。白いうさぎと黒いうさぎはセットだもんね。居なくても仲良しだからかいたんだ。

「知里?」

「なに?」

「黒いうさぎも欲しい?」

目をパチパチさせて、言ってる意味が解らないみたいだ。
私も言葉が足りてなかった。

「誕生日、黒いうさぎ買おうか?」

ぱあっと明るい顔になった。

「うん、くろいうさぎがいい」

「そうしよう。さあ、ご飯食べよう」

「は〜い」

どの位の大きさが欲しいかな…。結構お高いのよね。
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