元通りになんてできない
「知里、夜はじいじとばあばに会うからね」
今はパンケーキ屋さんに居る。休憩を兼ねてだ。
じいじとばあばと言うと何かのキャラのようでちょっと笑いのツボなのだが…。
今日はそんな気には、ならない。
深刻な話だ。
前から決まっていた。
知里を引き取りたいという事。
信次朗は名前はじろうだけど、一人っ子だったのだ。
信君が亡くなった今、娘をどうしても跡取りに欲しいと…。
直ぐにでもと言うのを私がせめて一年でも一緒に暮らしたいからと希望したのだ。
知里はまだ小さいから、知里に私の記憶が残らない内がいいのではないかとか、でも、まだ母親の手が必要な年齢だとか、
…とにかく、私は、いきなり一人ぼっちになる事が堪らなかった。…堪えられないと思った。
だから、私から知里を取り上げないでと思った…。
でも、もう、タイムリミットという事だ。
一度、家に帰る。
知里に昼寝をさせて置かなければいけないから…。
今夜会って直ぐという事では無いが、その日をいつにするのか 決めなければいけない…。
知里…。
スヤスヤと眠る手を握りしめた。
何も知らない…。解らない。知里………知里とずっと居たい。