元通りになんてできない
ふぅ、疲れた。
多分今日も帰って無いだろう。
ダイヤルを回し、郵便物を取り出した。
大して見もせず、まとめて掴み、部屋に向かった。
鍵を開け部屋に入り、ソファーに鞄と郵便物を置いた。…あ。パラパラと何通か滑り落ちた。
上着を脱ぎネクタイを緩めながら何気なくそれを見た。
見慣れない封筒が目についた。
明細書?
しかも、利用したことも無い会社名。
宛名は…あー、マナミだ。
…しかも、旧姓?
転送されたのか。昔からのか、まだ変えてなかったのか。
あー、……。ん。
夫婦といえども、許可無くは開けられない。
取り敢えずマナミに知らせるか…。
俺はメールした。
利用明細書が郵送されて来てる事。
そのままでいいのか、見て確認していいなら開けるけど、とか。
直ぐに返信が来た。珍しい。意思の解る内容だった。
【絶対!開けずに置いといて。取りにいくから】
だった。
開けたりしないから心配するな、と送った。
返事は無かった。
…実際、開けやしない。
だけど…、絶対、という言葉が、何かあるような気がした。