元通りになんてできない

「猛君はなんて?」

「何も。何も話してないもん、まだ」

「はぁ…。なんの為に借りたの?」

「…」

「マナミ、言ってくれないと…、心配だから聞いてるのよ?」

「何でもいいでしょ。必要だったからに決まってるでしょ」

「だから、何に必要だったの?」

「それは、言えない。言えないけど、変な事じゃないから」

「そんな…、それで心配するなでは、解決にならないわよ?教えて?何に使ったの?変な事じゃないなら言えるでしょ?
あなたがしっかりしてるなら心配しないけど…。何か困ってたの?」

「…。ネイル、ネイルよ。杏子と杏子の部屋でネイルアートするの。その為の準備金」

「マナミ…、猛君は」

「だから、知らないって」

「…知らないわよね。あなた、…結婚したら専業主婦するって…、言ってたものね。
やりたい事があるなら、何で言っておかないの?相談しておけば良かったのに。というか、それは、結婚する前から決めてたって事よね?」

「…」

「…マナミ。こっち向きなさい。家出みたいな事…、あれは、何?。
腹がたって飛び出したというより、杏子ちゃんのところ、あなたにとっては居続ける意味があったのね」

「……」

「…楽しい?」
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