元通りになんてできない

「ふざけてなんかない。貰ったのはマナミだよ?もう指輪はマナミのものじゃん。
それをどうしょうとマナミの自由でしょ?」

もう一度叩きたい思いを必死で堪えた。
黙っている訳にはいかない。

「今夜にでもすぐ…お父さんが帰って来たら猛君も一緒に、きちんと話しましょう。
別れるという言い方も合わないけど、あなた達の関係は解消しましょう。猛君にこれ以上意味のない辛抱をさせられない…。あー、なんて事…。
お金の事も話さないと。費用だって、猛君に返さないと…申し訳ないわ。とにかく。お父さんと話さないと…。
マナミ、今日はこのままうちに居なさい。
杏子ちゃんのところには帰っては駄目。いい?解った?」

「…」

「…なんて事してくれたの…。人の心を何だと思っているの?
あぁー…私達がいけないのよね、こんな事しても平気な子に育ててしまったから…あぁ…」

「お店はするから」

「…」

「もう準備もすすめてるし、やめないから」

「…好きにすればいいわ。この話をきちんと謝って…全部終わったら、好きにすればいい。あなたの好きなように。
その変わり、自分の責任でしてちょうだい。お父さんにもお母さんにも、泣きついて来たりしないで。それが守れるなら、どうぞ、好きにすればいいわ。
もう、隠してる事はないわね?ないわね?」

「…ない」
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