元通りになんてできない
心で撮る
「知里、公園に行こうか?ご飯食べ終わって、洗濯が終わったら。
凄く天気がいいから気持ちいいよ?」
「うん、いく。おかあさん、はやくはやく」
「まだよ、さきにご飯を全部食べる!」
「うん!」
「お母さんは、ご飯が終わったら洗濯を干します。
それからお皿を洗います。知里もお手伝いしてください。
公園はそれからです。解りましたか?」
「は〜い」
少し歩いたところに、かなり敷地面積の広い公園がある。
芝生が植えられていて、ゴロゴロ転がれるし、奥の一角は森のように常緑樹が生い茂っている。
今の季節、コスモスも一面に咲き誇っている。
サワサワと撫でるような風に揺れる姿が、寂しさを誘っているようだった。
「知里、コスモス、綺麗ね〜」
「うん、きれい」
「取ったら駄目よ。千切っても駄目よ」
「うん。しろ、あか、ピンク。おかあさんこれは?」
「紫かな?ピンクが濃いね」
「むらさき!…これは、オレンジ」
遊んでいる知里の写真を撮る。
撮れば撮るほど、後で辛くなるのに…。
撮ることより、少しでも一緒に遊ばなきゃね。