元通りになんてできない

俺は今後の事で決めた事があったから、マナミに会って欲しいと連絡した。

え〜マナミ、忙しいから、なんて言ってはいたが、渋々現れた。

「なに?あんまし時間無いんだけど」

「頼みがあるんだ」

「マナミに?猛が?頼むことなんてあるの?」

「…あるからこうして会って頼んでるんだよ」

「で、なに?」

「俺達、事実婚の夫婦って事にしばらくして欲しいんだけど、駄目かな?
何か都合悪い事とかあるか?
例えば、…好きな人がいるとか、すぐ結婚したい人がいるとか」

「…事実婚って、籍は入れないけど、夫婦として暮らしてる、みたいなやつよね?」

「まあ、そうだな」

「この前までのマナミ達じゃん」

「…そう言われれば、そう当て嵌まるんだけど…実際、マナミはそうじゃなかっただろ?
外からは解らないけどな」

「まあ、違うね。マナミは結婚したと思ってないから。でも、なんで?」

「職場だ。結婚したばかりだし、御祝いだって貰った。
こんな…、すぐ解消したなんて…、まだ言えない。居づらくなるだろう?」

「そういうことね。
マナミは別に自由にしていていいんでしょ?だったら別にいいよ」

「いいのか?」

「うん。こんな事くらい…、少しは勝手な事したお詫びしないとね。ちょっと、見直した?」

「…」

「ごめん、調子にのるなってね。で、どのくらい?」

「2、3年くらいかな」

「2、3年?!…結構長いね。でもそのくらいは必要か…まあ、いいよ。
マナミ、当分は無いから、恋愛とか。なんかあったら言うし」

「有難う、じゃあ、頼むな」

「うん、了解。じゃあね」

「ああ、元気でな。…優しくしてやれなくて悪かったな…。頑張れよ」

「…あ、うん。ありがとう」
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