元通りになんてできない
「今日は知里がここに来るから、サンタさんが置いといてくれたよって。
本当は普通に家で良かったんでしょうが、説得力があるかなと、サンタさんは居るんだって…。
大きくなれば、現実は否応なしに解りますけどね。
父親が居なくて、サンタさんも居ないってなると…ね。今は小さいなりの感情もあるし…。
先生、3月迄は…、まだまだお世話になりますから、お願いしますね。
…先生?」
「…ご、ごめんなさい。私が泣いてどうするって。
シュンッ。ハァ…任せてください!
で、プレゼントはどうされたんです?」
「もう、凄い悩みましたよ。
将来的に使えて、私のというか、まあ、存在があまり出ないモノって。
どうしても私が買うと、自分の中で私があげたモノになるから。あの子が"欲しいもの"は現実に叶えられないものばかりですから…。
結局、無難ですね。
スケッチブックとクレヨン、色鉛筆、絵の具、動物図鑑、植物図鑑。…詰め込みました。凄く重くて…」
「ウッ、ウウッ…」
「うわっ、先生?泣かないでください?…私は大丈夫ですから」
泣きたいのは私。クリスマスも終わった。年末も年始も直ぐやってくる。
どんな思いで過ごしても、静かに知里との別れは近づいている。