元通りになんてできない
「知里はもう少ししたら、じいじとばあばと一緒に暮らします。
じいじとばあばの家に行っても、ご飯をしっかり食べること。
元気にお話すること。
守れる?
これからは、お父さんが知里みたいに、小さい時住んでたおうちで、暮らすのよ。じいじのお家はね、お父さんのお家なの。
…じいじとばあばの言うことを聞いて…」
「おかあさん?わかったよ」
泣かないつもりだった…、声が詰まったから、後の言葉が継げなかった。
「なかないで、おかあさん、よしよし」
知里が頭を撫でてくれる。
湯舟に浸かっていて良かった…。
お湯で顔をバシャバシャした。
「はぁ、大丈夫よ。
知里、ありがとう、偉いね。お母さん元気になったよ。
さあ、風邪ひくといけないから出よう」
「うん!」
良かった。
知里は普通だ。
駄目なのは私の方だ。…全然駄目。
知里を寝かしつけて、布団をかぶり泣いた。どうしても涙が止められなかった。