俺様悪魔VS僕系天使




それからは、田中くんも特に変わったこともなく私も電話でのことを忘れかけていた。

あ、咲間は相変わらず学校にきてない。

あいつが休む理由って何なんだろう?


そして田中くんと付き合ってから早くも2週間が経とうとしていた。

そんな時、平穏だった日々が少しずつ音を立てて崩れていっているのに、私はまだ気づくはずもなかった―……


「貝崎、悪いノート見せて!」


前の席の津曲くんが両手を合わせて祈るように私を見る。

私も「あんたが居眠りするからでしょ」なんて言うような、そんな冷たい女じゃない。


「仕方ないなぁ。
駅前のドーナツで手を打ってあげよう」


「まじ?サンキュー!」


津曲くんはノートを受け取ると嬉しそうに笑顔を浮かべながらノート写しの作業に取り掛かった。


ふぅ、と溜め息をついた瞬間スカートの中のスマホが震えた。
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