俺様悪魔VS僕系天使


1日が終わるのはあっという間で、気がつけばもう放課後になっていた。


(授業の内容…全く覚えてないや…)


それだけ田中くんのことが頭から離れなかったのだろうか。

重たい気持ちのまま、小さな窓からオレンジに染まりゆく空をただぼんやりと眺める。


少し開けた窓の隙間から爽やかな秋風が入ってきて、私の髪を優しく揺らした。




「――美湖ちゃんいる?」



外へ向けていた視線を廊下の方に移す。

そこには見慣れた顔。

秋風のように現れたその人は、いつもの爽やかな笑みを浮かべている。



「爽くん」


「じゃ、わたし帰るね」


夏夜はそれだけ言うと鞄を持ってさっさと帰ってしまった。

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