俺様悪魔VS僕系天使
“お前、泣いてんのか?”
“何があった?”
嗚咽を漏らすだけで何も答えない私の状況を察したのか、咲間は声のトーンをわずかに落とした。
“まさかお前、田中――”
「美瑚、ごめんね1人にさせて。
寂しかっただろ?」
扉を閉めてゆっくりと近づいてくる田中くん。
“やっぱりそうか……”
咲間がぽつりと呟いたと同時に田中くんがスマホの存在に気づいた。
「恭さま……?
まさか、浮気してるの?美瑚」
冷たくて鋭い視線が私の心に突き刺さる。
(ちがう!)
田中くんを見たまま、ふるふると頭を振って否定する。