俺様悪魔VS僕系天使
「どーしたの、そんな残念な顔して」
夏夜が黄色のペンキを片手に瞬きながらさらりと毒を吐き、じっと私を見つめてくる。
「私はもともとこんな顔よ。
ちょっと咲間にイラついただけ」
声にあいつの名前を出したことで、せっかく静まりかけていた気持ちが、再びふつふつと怒りが沸き上がってくる。
それをぶつけるかのように、明化祭でするアニマル喫茶に向け、机をガコンッと次々に配置していく。
「うーん、咲間ねぇ…」
ぽつりと呟くと、夏夜は口を閉じて目の前のダンボールに黙々とペンキを塗りたくっていく。
「その咲間に何言われたの?」
ぴたりと動作をやめて黙り込んでしまった私を見て、夏夜はひとつ溜め息をつく。
「話したくなければ別にいいけど」
「…田中くんはやめとけって」
それだけだよ、と言うと夏夜は暫く考え込んでから「あのさ」と口を開いた。