愛が溢れてる


「おっはよー!」


テンション高く言葉を繰り出しながら我が販促総プロ課のドアを勢いよく開く。


案の定、すでに出勤していた愛実ちゃんが、自分のデスクから振り向きつつ挨拶を返してくれた。


「あ、おはようございます…」

「ねーねー、これ見て!」


そのまま一直線に彼女の元へと向かい、右手に持っていたクリアファイルをパソコンのキーボードの上に乗せる。


「こないだのミーティングで新たに誕生した、ままだやんの家族。またまたパソコンで作って来たよー」

「あ、可愛い~」

「右がお父さんの『ままだでぃ』で、左がお母さんの『ままままん』ね!」

「ウフッ」


オレがデザイン画を指差しながらそう解説した途端、愛実ちゃんは盛大に吹き出した。


「だでぃにはお髭が、ままんには睫毛が生えてるんですねー」

「うん」

「一目で『お父さんお母さん』って分かりますよね。それに、何度聞いてもそのネーミング、キュートで最高です~」

「ホント?ありがとう!」


愛実ちゃんからお褒めの言葉をいただいた事に心底満足しながら、デザイン画を回収して自分のデスクまで歩を進め、左手に持ったままだったペットボトルの水と一緒に机上に置いた。


そして端末を立ち上げてから今度は背後のカウンターへと接近し、ポットとやかんを手に取る。
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