BEAST POLICEⅢ
冗談じゃない。

息絶え絶えになりながらも、巽は奥歯を噛み締める。

そんな大した理由もなく、絞首刑など御免蒙る。

犯罪者に恨みを買うのは毎度の事だが、殺されてやる理由など何一つありはしない。

巽は、自らの首を絞める鋼線を両手で握り締め、屋上にいる亮二と引き合う!

「…馬鹿な」

表情こそ変えないものの、亮二は小さく呟く。

鋼線は3380度という金属の中で最も高い融点を持ち、細くて強いという性質のタングステンワイヤー。

しかも括り絞め上げれば刃物にも近い切れ味を誇る。

扱いには細心の注意を払わなければならない。

それを素手で無造作に握り締め、あまつさえ引っ張るなど。

下手をすれば五指が飛ぶ。

「まさしく野獣だな…」

亮二は巽との引き合いに応じる。

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