BEAST POLICEⅢ
「多少手間取ったが、タイミングさえ取れれば何人相手でもどうという事はない」

両手を正拳に握り、平行立ちに構える。

両手を交差させ、耳を持つ感じで上げながら、息を大きく吸い込む。

丹田まで息が入ったら、丹田に力を入れ、口を大きく開いて一挙に吐きながら両手をおろす。

最後の息を一気に吐いて姿勢を整える。

空手の呼吸法、息吹だ。

倉本は苦戦していたのではない、景子達3人の動きを見切っていただけに過ぎない。

「相手が得物持ちとて同じ事だ。自分には勝てん」

「抜かせぇェェえぇぇっ!」

刀を上段に引きつけるように構え、突進からの刺突を放つ景子!

速度、角度、申し分なし。

だが。

「気が揺らいでいる。集中力が足りないな」

倉本は片手で景子の刀の切っ先を、そっと触れた。

あくまで、そっと。

それだけでいい。

景子の突進力を利用する事によって、僅かな接触が大きな軌道の変化に繋がる。

そうやって刺突を逸らした倉本は。

「ぐはっっっっっ!」

前の2人同様、ボディブローの一撃で景子を沈めた。

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