BEAST POLICEⅢ
動けない巽に対し、連続の刺突を繰り出す亮二。

愉悦を感じている風でも、鬼気迫る表情でもない。

ただ淡々と。

作業的にアイスピックを突き出す。

どこか無機質な肉食昆虫のように感じられた。

例えるなら、獲物を捕らえて食らう蟷螂のような。

表情を感じさせない、事務的な行動のようだ。

これが殺し屋の殺人(しごと)。

命を奪う事に、何の感情も湧かなくなる。

「冗談じゃないぜ」

巽は奥歯を噛み締める。

これから訪れる激痛に覚悟を決めて。

「ぐぅっ!」

アイスピックで地面に串刺しにされた足の甲を、無理矢理に引き抜く!

と同時に、アイスピックが突き刺さったままの足で、亮二に前蹴り!

「っ!」

貫通したままのアイスピックの鋭利な尖端が、亮二の胸板に突き刺さった!

浅い傷とはいえ、亮二の黒装束が血に染まる。

「刺すのは得意でも、刺されるのは嫌か?」

足の甲からアイスピックを引き抜いて、巽は壮絶な笑みを浮かべた。

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