BEAST POLICEⅢ
倉本もそうだが、巽ももう満身創痍だった。

拷問、銃創、落下による打撲。

ここ最近の一連の事件により、巽は病院送りの怪我を負っている。

そしてここに来て、亮二との死闘。

既に全身が悲鳴を上げている。

戦闘どころか、亮二の強烈な殺意によるプレッシャーにも、体力がもたないような状態だ。

それでも攻める!

得意の変幻自在の足技で、亮二に付け入る隙を与えない。

ハイキックから急激に落下してくるブラジリアンキック、かと思えば突然足が跳ね上がり、そこからまた急降下する踵落とし。

格闘技の心得があっても、なかなか読み切れる技ではない。

これを亮二は、抜群の戦闘センスのみでダメージ最小限に抑える。

が、決して完全回避している訳ではない。

打点をずらして威力を殺したり、掠める程度に留めているだけ。

何割かは食らっているし、ダメージも負っている。

何より巽の猛攻に、反撃が出来ていない。

いいように打たれっ放し。

だが、攻めている巽も受けている亮二も、とうにわかっている。

巽の体力は長くは続かない。

攻め疲れてしまえば、そこで終わりだ。

次の亮二の反撃を、巽は受け切れない。

この猛攻で亮二を仕留められなければ、巽は確実に殺られる。

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