BEAST POLICEⅢ
一発打つ度に相討ち。

倉本と松岡の死闘もまた、佳境に入っていた。

咳込む度に血を吐く松岡。

脳震盪が悪化してよろめく倉本。

それでもお互い足を止めず。

「うらぁっ!」

拳を繰り出す!

カウンターの形になる両者の正拳突き。

顔面に突き刺さり、両者はまたも大きく後退した。

顔は腫れ上がり、片目が塞がり、視界は極端に悪くなっている。

ぐらつく奥歯、口の中はズタズタに切れている。

「ぐっ!」

突然、松岡が自分の顎を殴りつけた。

ガコン!と大きな音がする。

倉本の拳で外れた自分の顎を、無理矢理に戻したらしい。

「あー…痛ぇ…」

言いつつ、血塗れの顔で笑う松岡。

殺し合いが心底愉しい。

正確には全力を出し切って戦える倉本の相手が愉しい。

そう言いたげだった。

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