BEAST POLICEⅢ
「ちょっと、倉本さん」

美奈が倉本に声をかけた。

「1人で行くの?」

「ああ」

背を向けたまま頷く倉本。

「巽さんを痛めつけた犯人を、殺すつもり?」

「自分は警察官だ」

倉本は答える。

「警察官の職務は犯罪者の逮捕であり、処分ではない。確かに自分は、犯罪者を殺害した事もある。逮捕が不可能と判断した時だけだ。その判断は過去一度として間違っていたと思った事はない。今回もそうだ。オルロフ逮捕にあたり、どうしても生きたままの逮捕が困難な場合…如何なる批難を浴びようとも、自分は引き金を引く」

「……」

それが治安と安寧を守る警察官である倉本の覚悟。

そう言ってしまえば簡単だが。

美奈は表情を曇らせる。

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