ずるい、ずるい、ずるい。
せきがえ
校庭の緑が茶色に変わっていく。
半袖から長袖に変わる。
季節は秋。9月。
中学3年生。
中学校生活最後の体育祭も、
楽しかった修学旅行も終わって
残すは11月の合唱コンクール。
だけどその前に大事な行事。
そう、席替え。
「次、咲希だよー」
前の席は先生の目につきやすいところで
授業中バンバン当てられてもう最悪だった。
親友の凛ちゃんは遠い席にいるし、周りそんなに仲のいい子がいなかったから班活動とか気まずくて仕方なかった。
しかもうちのクラスの担任は席替えあんまりしないタイプで、4月に1回したきりだった。
早くあの席から脱出したかった。
「…10番」
黒板にあらかじめ書いてある番号と
くじ引きで引いた番号とが同じ所が次の席になるシステム。
黒板を凝視する。
10番、10番、えーっと、
「やった」
いいじゃん。
いいじゃんここ。窓側後ろ。最高だ。
ありがとう神様。
「あれー、隣岡本さんかー」
「…え」
「杉下でーすって知ってるか」
「俺、くじ引きで11番だったの」
「ずっとここがよかったんだー」
「そういや、ちゃんと話すの初めてだね」
「これからよろしくねー」
…神様のばかやろう。