ずるい、ずるい、ずるい。
すなお
「岡本さー…」
「余計なことしないで」
素直になる。
私にこれができた試しがない。
昔っから
ありがとう、かっこいいね、ごめんなさい
とか素直に言えたことがない。
言いたいのにいざとなったら恥ずかしくなって、結局出るのは憎まれ口。
中学になっても変わらないままで、
何かされてもつっけんどんになってしまう。
後悔すでに遅し。
「…そっかあ」
ごめん。
「まだ嫌われてるみたいだねー」
ありがとう。
「俺もうちょい頑張るね」
困ったような君の笑顔。
頭の中でならいくらでも言えるのに
口をついてでるのは全部正反対の言葉。
嫌だなあ。