ずるい、ずるい、ずるい。

まさか



杉下の隣になって1ヶ月がたとうとしている。

窓から見える景色が殺風景になってきた。

相変わらず話せていない。

杉下が一方的に私に話しかけている状況。


「岡本さんさー、なんで俺と話してくれないのさー」

「…嫌いだから」

「はっきり言うねえ」



…本心かな、これ。



「俺はさー、岡本さんみたいな子好きだけどなー」


世界が止まった気がした。

周りの音が何も聞こえない。

" 好き "

いつまでも耳に残る。繰り返し再生される。
多分そういう意味じゃない、友達としてとかそんな感じ。


でも、私が意識するには充分すぎて。



ずるいんだよ。

そんなん軽く言わないでよ。



惹かれていくのが自分でもわかる。


そうだね。


杉下のこと、嫌いじゃないや。
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