白雪と福嶋のきょり
ページが不足していると気付いたのは会議中だったらしくて。

コピーだけなら福嶋と私で充分だから、はるか先生たちには職員室に戻ってもらった。

「これで終わり?」
「ああ」

冊子に増えるのは二枚でも、それが一学年分となると四百枚を超える。

福嶋が抱えてきた分よりはずっと少ないし軽いもんでしょと思ったのだけれど。

「、あれ?」

一枚は風に乗って空を飛べるくらいに軽くても、重なり山となったそれと机の間には指先すら入らなかった。

「わ、」

すると、コピー機の近くにいたはずの福嶋が音もなく目の前に現れて。

反対側から、まるで風に踊る紙を掬い上げるみたいにするりと手を滑り込ませ、軽々と紙の山を持ちあげてしまった。

「電気と鍵頼む」

自慢する素振りもなくそのまま扉へと向かっていく福嶋の背中に、世界が少しだけ傾いた。

「白雪、行くぞ」
「うん」

福嶋はこういう、風に似た行動というか仕草が自然に出来てしまうからこそ、かっこいい。

(そりゃモテるわよね)

福嶋のかっこよさに少しだけ惚けた後、その風を纏う背中を追って情報処理室を出た。
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