白雪と福嶋のきょり
そのまま福嶋とエレベーターに乗り、男子が泊まる階の一番手前のチャイムを福嶋が鳴らした。

その部屋は、はるか先生と新任の先生の部屋だった。

「よお。」

はるか先生に促されるままに入室すると、机上にはノートパソコンに繋がれたデジカメや書類などが広がっていて。

「実はな、またお前らに手伝ってもらいたいんだ。」

先生たちにとっては仕事なんだなと当然の事を再確認しているとはるか先生が差し出したのは、メモ書きのコピー。

それには”少年少女よ大志を抱いて高く飛べ”と大きく書かれていて、周りには矢印に導かれたたくさんの文字と。

「”サプライズ肝試し”?」
「ああ。毎年恒例なんだよ。」

生徒のしおりには書かれていなかった肝試しは、毎年先生たちが生徒に秘密で計画を進めていく恒例行事らしく。

「まあお前らになったのはくじの結果なんだけどな。」

くじ引きは当日のカップルを決める為のもので。

はるか先生の言った”お前か”や新任の先生が付けた”丸”は、一番最後のカップルに手伝いを頼む為のものだった。
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