白雪と福嶋のきょり
窓際のテーブルに向かい合い腰掛け、何をするでもなく外を眺める。

後数分もすれば点呼も終わり、そのタイミングをずっと息を潜めて伺っていた奴らが抜け出し切るだろう。

その頃に戻れば巻き込まれる事もない。

「おいしい」

目の前では一周分多く巻かれたアイスを頬張る白雪が、先程の店員とは全く違う弛緩した顔でそう零す。

「スプーン貰えば良かったわね。そうしたら一緒に食べられたのに」

相変わらず聞かされる側をどきりとさせる様な事を風の様に放つ白雪に、薄い息が鼻から漏れた。
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