白雪と福嶋のきょり
日にちを随分と超えた頃に漸く戻ってきた奴らの声に彼の顔は一瞬落ちたが、ずっと持てなかった奴が一度付けた自信はそう簡単には剥がれない。

俺にそうするフリをして実の所サカキをからかう三人に。

「僕、福嶋くんに迷惑かけてないよ。」

彼ははっきりそう言った。

「福嶋ー!お前榊にまで好かれてんのかよー!モテますねー」
「サカキの洞察力に驚いてただけだ」
「洞察力?何だそれ。」
「へー。なら俺は?試してやるよ。」
「…ふう、宮崎くんは…。」

馬鹿にする為に彼の方を向き、自分の事をどう見ているのかを言わせようとする友人に、一度息を吐いてからそいつの性格や癖を優しく放った。

「当たってる…。」
「次俺俺!俺と一番似合う奴って誰?」
「吉野くんとお似合いの人は…。」

少しずつ、サカキを囲う様に人の輪が出来ていく。
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