コールセンターの恋愛事情
「お茶会とか?」

そう言って内場さんがデスクのうえに差し出すように置いたのは、パウンドケーキだった。

「お茶会?」

どう言うことですか、それ?

「だいたいのクレームや相談事は本社の方で処理してくれるの。

俺たちの仕事は本社の方で処理できなかったそれらのことを処理するって言うのが仕事なの」

辻本さんはカップをデスクのうえに置いた。

「須知ちゃんは紅茶派?

コーヒーがよかったらすぐに用意してあげるけど」

「紅茶でいいです…」

コーヒーは体質にあわないらしく、飲むとすぐにお腹を壊してしまうのだ。

「今日はアールグレイね」

手に持っているポットでカップに紅茶を注いだ。

フワリと、茶葉のいい香りが鼻をくすぐった。
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