コールセンターの恋愛事情
少しずつではあるが、前へ前へと進んでいた。

しかし、
「寒い…」

骨身に沁みるんじゃないかと思うくらいの寒さに、わたしはマフラーを巻き直した。

「はい」

内場さんがそう言って何かを差し出してきた。

「何ですか?」

彼の手のうえのものを指差したわたしに、
「カイロ」

内場さんが答えた。

「あっ、ずるい!

いつの間にそんなもの持ってたんだよ!」

辻本さんが内場さんの手のうえにあるカイロに手を伸ばそうとしたら、ヒョイと彼に交わされてしまった。
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