コールセンターの恋愛事情
財布から5円玉を取り出すと、それを賽銭箱に向かって投げた。

チャリーンと音がして、5円玉が賽銭箱の中に入った。

それを見送った後、わたしは両手をあわせた。

いいご縁――特に仕事に関してのご縁――がたくさんきますように…。

心の中で願い事を言った後、あわせていた両手を離した。

「じゃ、帰りますか」

辻本さんの声を合図に、わたしたちは賽銭箱の前から立ち去った。

神社を後にすると、
「今年も特にトラブルがなく、無事に乗り越えられるといいな」

内場さんが言った。

「でも仕事はあった方がいいと思いますよ」

そう言ったわたしに、
「まあ、別にいいじゃん。

毎日が平穏なら、それに越したことはない」

辻本さんが笑いながら言った。
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