コールセンターの恋愛事情
「いや、その何と言いますか…。

本社とは別のところにあるコールセンターと言いますか…」

辻本さんが事情を説明しようとするけれど、警察官の訳がわからないと言う顔はそのままだ。

「あの、それよりも…暴力団の「濱田組」ってどう言うことなんですか?

確かにおかしいなとは思いましたけど」

流れを変えるため、わたしは辻本さんと警察官の間に入った。

「質の悪いクレーマーとして有名な組織です。

理不尽なクレームをつけて損害賠償請求や慰謝料請求、果ては命を奪うなどと言った悪徳行為も」

そう説明した警察官に、わたしたちは思わず顔を見あわせた。

「どうやら「濱田組」のことを知らなかった女性社員が君たちに頼んだそうです。

その後で事情を知った彼女の上司が社長に報告して警察に連絡して、今に至ったと言う訳です」

警察官がわかったかと言うようにわたしたちの顔を見回した。
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