コールセンターの恋愛事情
何か食べたいものがあったらって、頭も躰も使ってないからお腹も空いていなければ食べるものも何も思いつかないよ。

心の中でそう言った後、わたしは息を吐いた。

辻本さんは普段から本社にある食堂を利用しているらしく、昼時になるとわざわざ本社へと足を向かわせて食べているほどである。

そこで昼ご飯を食べながら他の部署に勤めている同僚たちと会話を楽しんでいるのだそうだ。

同じ“ゴミ捨て場”と呼ばれている部署に勤めているのに、よくやるな…。

そんな人が大勢いるところに自分から行って周りから後ろ指を指されたり、変な噂を立てられたらどうするって言うのよ。

初出勤の時に見た受付嬢のひきつった笑顔と先輩社員たちの噂話を忘れることができない。

本当に、何でこんなところで働くことになっちゃったんだろ?

わたしは一体何をして、ここへ飛ばされたって言うんだ?

バーン!

そう思っていたら、ドアが開いた音が大きく響いた。
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