コールセンターの恋愛事情
その後、男はプレハブを囲んで突入するタイミングをうかがっていた警察たちに逮捕された。

「まさか須知ちゃんが元ヤンだったとは知らなかったなあ」

さすがに数日も経つと、騒動もある程度収まってきた。

わたしが犯人の胸倉をつかんで怒鳴り散らしたことはあまりにも衝撃的だったらしく、そのことを2人からいじられていた。

「もう昔の話ですよ。

それも高校1年の半年間の話です」

わたしは言い返した。

せっかく隠していた過去――と言うよりも、黒歴史である――が、あの事件のせいでバレてしまった。

更生して、まじめに大学に通って、大手企業への入社を勝ち取ったのに…なのに配属されたところは“ゴミ捨て場”と呼ばれるコールセンターで、そのうえ過去がバレてしまった。

「まあ、須知ちゃんのおかげで事件は解決できたけど」

辻本さんはハハッと笑っていた。
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