コールセンターの恋愛事情
「それで、今終わったところなの?」

そう聞いてきた松本さんからは京言葉特有の訛りがなかった。

「はい、今帰るところです」

わたしは答えた。

「松本さんも帰るところなんですか?」

そう聞いたわたしに、
「ええ、でもこれから近くのスーパーによって少しだけ買い物をするけどね」

松本さんは答えた。

「ああ、そうなんですか…あっ」

「どうかしたの?」

「その、今朝牛乳が切れたから買いに行かなきゃと思いまして…」

よかった、思い出して。

「あら、そうなの。

須知さんがよかったらだけど、一緒にスーパーに行く?

いろいろと聞きたいことがあるし」

「構いませんけれど…」

本当は歩きたくないと言う気持ちがあるけれど、せっかくの先輩からの誘いを断る訳にはいかないと思ったので首を縦に振ってうなずいた。
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