コールセンターの恋愛事情
幸いにもお互いが頭のうえで差している傘のおかげで多少彼女と距離をとることができた。

「初めて見る顔だから、今年入ってきたの?」

「はい、2ヶ月前に入社して配属されました」

「仕事にはなれた?」

「えーっと…」

何でしょうか、これは。

と言うか、一問一答しているだけじゃないのよ。

わたしが答えるのが遅れているせいで、松本さんとの間に沈黙が流れてしまった。

「あの…内場さんと辻本さんから聞いたんですけど、2人と同期なんですよね?」

もう答えるのが面倒くさくなってしまったので、わたしは逆に松本さんに質問することにした。

「ええ、そうよ」

「後、蔵野さんとも同期だと」

わたしがその名前を出したとたん、松本さんは表情を曇らせた。

どうしたんだろう?
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