コールセンターの恋愛事情
ミーンミーンとセミが鳴いている広場のベンチに、わたしと松本さんは座っていた。

こんなところに広場があったんだ…。

時間がある時――って言っても、時間がたくさんあるようなものなのだが――に会社の周りを散策してみようと、わたしは思った。

そう思っていたら、
「――私ね」

松本さんが話しかけてきた。

「私の瞳が碧いのは、母方のひいおばあちゃんがアメリカ人だったからなの。

この瞳のせいで小さい頃は友達がいない不遇な時代を過ごしたの。

碧い瞳に黒い髪――これを個性として受け止めれるようになったのは、だいぶ時間がかかったけどね」

松本さんはそう言ってわたしに碧い瞳を向けた。

海のように深い色をした青だった。
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