コールセンターの恋愛事情
「１学期の終わりか２学期の始め…とりあえず、その日は暑かったことだけは覚えてるの。

その日チカは仲のいい男友達と遊ぶ約束をしていたから先に帰っていたの。

それで１人で学校から帰っていたら…変質者に襲われたの」

「えっ…？」

驚きのあまりかすれた声が出たわたしに、松本さんは気を落ちつかせるために深呼吸をした。

「幸い、犬の散歩で近くを通りかかっていたおじさんが気づいて怒鳴ってくれたおかげで変質者は逃げ出した。

要は、未遂で終わったの。

未遂だったとは言え、チカは自分を責めた。

“俺がエリを１人にしたせいで、エリが襲われてしもた”って。

私や両親はチカは悪くないって言ったんだけど、チカは自分を責め続けた。

その時からよ、チカとの間に主従関係ができてしまったのは」

松本さんはうつむいた。
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