コールセンターの恋愛事情
「よし、これで行こう!」

辻本さんは首を縦に振ってうなずいた。

「いや、どれで行くって言うんですか?」

勝手に話を進めようとしないでください。

「こう言う訳なんだけどさ」

辻本さんの話に、
「いいんじゃないか」
と、内場さんが言った。

「でも、うまく行きますかね?」

そう言ったわたしに、
「そこが腕の見せ所だよ」

辻本さんがパンと自分の腕をたたいた。

「もし失敗したら笑ってごまかせばいいんだ。

まずは蔵野にメールと」

内場さんは笑いながら言うと、シャツの胸ポケットからスマートフォンを取り出した。

笑ってごまかせば…って、無理があるでしょ!

何ともお気楽な彼らに、わたしは呆れることしかできなかった。
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