コールセンターの恋愛事情
Fifth Call□真夏の夜の心霊騒動
ミーンミーン…

セミが元気よく鳴いているここは、
「田舎だな」

「田舎...」

「田舎ですね」

わたしたちは呟いた。

周りは田んぼしかない。

車も1台すらも通っていない。

本当に田舎である。

わたしはたった今出てきた後ろの建物――駅を見あげた。

駅の中は無人で、電車は2時間に1本と言う少なさである。

「行くか」

辻本さんが声をかけてきたので、
「行くしかないでしょ」

内場さんが言い返した。

「行きましょう」

わたしも首を縦に振って返事をした。

ここにいても時間だけが過ぎて行くだけである。
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