コールセンターの恋愛事情
椎森さんはボイスレコーダーをテーブルのうえに置くと、
「まず始めに簡単なプロフィールを言ってもらっていいかしら?

誕生日とか好きな食べ物とか」
と、言った。

何の前振りもないまま、取材開始ですか?

「えーっと…須知紬です」

わたしは自分の名前を名乗った。

「誕生日は10月17日で、血液型はB型。

好きな食べ物は酢こんぶと梅干、嫌いな食べ物はケーキなどの甘いもの全般です」

とりあえず、言われた通りの簡単なプロフィールを言ったけど…後はどうすればいいんだ?

椎森さんがチラリとわたしを見たので、
「あっ、以上です…」

呟くようにわたしは言った。

見られただけなのにもうすでに威圧感を感じているよ…。

こりゃ、“死んでも敵に回したくない上司”のナンバーワンに選ばれる訳だ…。
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