コールセンターの恋愛事情
辻本さんが目の前のドアを開けた。

「今日から働くことになった新入りがきたぞ」

そう言って声をかけたその先にいたのは、これまたスーツを着たイケメンだった。

辻本さんと違うところは、彼はまっすぐに伸びた黒髪とハーフなのかと思うような彫りの深い顔立ちが特徴的だった。

映画『テルマエ・ロマエ』にこんな感じの人がいたような…。

辻本さんは髪の毛や雰囲気から猫を連想させるけれど、彼は正反対なタイプである。

「へえ、なかなかの子を選んできたじゃん」

その人はそれまで座っていた椅子から立ちあがった。

「今日から配属されました、須知紬です」

自己紹介をしたわたしに、
「俺は内場新(ウチバアラタ)、工の1つ先輩なんだ」

彼――内場さんが自分の名前を名乗ると、辻本さんの隣に並んだ。

身長は辻本さんの方が高かった。
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