空を照らす向日葵
僕は、その壁を態々壊したり無くすことに無尽力な人間だから、というより気にしないし普段は気付きもしない。

自身が気に入っているから使うだけ。そういう考えを持って、ずっと勝手に主張し続けてきた。

この時も存分に主張しながら、傘を何度も左右に動かし、老舗の喫茶店を通り過ぎて、桜坂も過ぎて、校門を跨いだ。

いつもならこの間に、キミが僕の名前を歌ってくれるのだけれど。

この日は、一向に花が歌う声も不器用な足音も聞こえてこなくて、とても穏やかだったよ。

「あっ日向君!おはよう!」
「おはよう」

やたらと他の人と目が合うせいで、静かではなかったけれど。
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