空を照らす向日葵
僕とコウタも、マヤマさんも下校する途中だったからそのまま三人で────というより先に行こうとするマヤマさんにコウタが絡んで、結果的に玄関を抜けて校門を三人で跨ごうとした時だった。
近付こうとするコウタをぴしゃん、と拒むマヤマさんの声を聞きながら校門が歩くレールの向こう側に足を出した時。
「いたーーーーーあ!」
全員が先の見えない雨に、鬱陶しそうに溜息をつきながら桜坂を下っていく流れのどこかで、キミが僕を見つけたんだ。
「え」
僕には、まだキミの姿は見つけられなくて。
雨に隠れて見えなくなっていくたくさんの背中しか分からなかった。
いる筈のないキミの声に、いる筈ないよね。と否定しながらも、桜坂にキミを探した。
探したと言っても、キミがそうする程大袈裟じゃなかったとは思うのだけれど。
「ち、ち、ちっひっろっくんんん」
「…いた」
それでも、一人だけ駆け上ってくるキミが不器用に走る姿を見つけた時には、思わず言葉が零れてしまったよ。
とても小さかったし、雨に隠されてキミには届かなかったけれど。